ピント調節がスムーズに行えないスマホ老眼
いま、スマホ利用者は、日本の人口の6割を超えています。
こうした中、20、30代なのに「手元の文字が見づらい」「近くのものにピントが合わず、視界がぼやける」といった老眼のような症状に悩む人が増えています。スマートフォンなどが関係しているとみられ、「スマホ老眼」と呼ばれています。
「ふと電車の中で雑誌や腕時計を見たりするときに、文字がぼやけて目をしかめてしまう」
とは電車通勤している30代の山根和彦さん。こんな症状が出るのは主に夕方だとか。職場でパソコンを使うほか、営業で外回りする際もスマホでのメール確認や情報収集に余念がないそうです。仕事が終わっても、スマホは手放せない。山根さんのように1日中スマホを見続けているという若い世代も少なくありません。
近くのものにピントが合わないとは、まるで老眼のようです。年を重ねた人がなるものと思っていた老眼なのに、老眼の初期症状のような悩みを抱える20、30代が増えているのです。視力には特段の異常はないのですが、ピント調節がスムーズに行えないのが特徴です。
一時的なものですが、繰り返すうちに重症化するケースも
近くを見る際は、毛様体という筋肉の働きで、レンズの役割を果たす水晶体の厚さを変えます。老眼は加齢に伴い、水晶体が硬くなったり、毛様体が衰えたりして、ピント調節ができなくなる現象です。40歳ぐらいから兆候が出ます。
一方、スマホ老眼は、医学的には「調節緊張」と呼ばれる症状です。近くを見続けるなどした結果、筋肉が凝って、ピント調節ができなくなるのです。老眼ではなく、ほとんどが一時的なものですが、繰り返すうちに重症化するケースもあり、注意が促されています。重篤化すると、ピントが固定されたままになることがあるのです。
パソコンでも同様の症状は起こりますが、スマホの場合、短い距離で、小さな画面内の文字を凝視するため、よりなりやすいのです。
現代はスマホのほか、パソコンやタブレット、ゲーム機など、目の近くで用いる機器であふれています。老若男女が長時間見つめています。目にとっては、今まで経験したことのない過酷な社会です。
それだけに、目への影響だけでなく、心身のバランスを崩したり、仕事や学習能率の低下につながったりするケースもあるのです。とくに心配なのは子どもへの影響です。長時間の使用を控え、目のケアに関心をもつように心がける必要があります。
対策としては、
- 目とスマホの距離を40cm以上離すこと。
- パソコンやスマホを1時間続けたら10~15分休み、遠くの景色をながめること。
- 目をマッサージしたり、蒸しタオルで眼の血行を促すのも疲れを取る効果があります。
- 気がついたらまばたきをしておく(スマホを凝視していると、まばたきの数は驚く程少ない)。
このように重篤化する前に対策を!